糖鎖分野のトータルソリューション提供への取り組み

2020年05月13日


住友ベークライト株式会社(代表取締役社長:藤原 一彦)は糖鎖研究、糖鎖分析のニーズに的確かつフレキシブルに対応する製品・サービスを提供します。

抗体医薬品の糖鎖分析キットおよび全自動化装置は国内外の抗体医薬品企業での採用が進み、抗体医薬品の研究開発や品質評価の効率化に寄与しています。昨年5月にはバイオ医薬品の研究開発や新たな診断法の開発に貢献するO型糖鎖分析キットを新発売、初めて実用的なO型糖鎖分析ツールを研究者に届けることが可能となりました。顧客サンプルの糖鎖解析を引き受ける受託解析サービスも好調で、糖鎖分析のアウトソーシングのニーズに応えることはもとより、疾患バイオマーカー探索など新しい発見につながる研究をサポートします。糖鎖アレイ、レクチンアレイといった解析ツール・技術により、糖鎖とタンパク質の相互作用解析をサポートし、感染症研究や創薬研究などの基礎研究を支援します。

これらの製品・サービスを体系化し、「糖鎖研究・分析のワンストップサービス」を提供することでヘルスケア産業をサポートし、ひいてはQOL向上に寄与します。


糖鎖とは

糖鎖は私たちの体を構成する重要な生体分子の一つであり、以前から糖鎖と疾患との関係が積極的に研究されています。体内の多くのタンパク質には糖鎖が結合しており、たとえアミノ酸配列が同一のタンパク質であっても糖鎖の構造及び量によってその性質は大きく異なります。従って、糖鎖は抗体医薬などのバイオ医薬品の機能、動態、安定性に大きく影響を及ぼすことが知られているほか、幹細胞マーカーや疾患関連バイオマーカーとしても着目されています。また、インフルエンザなどの感染症はウイルスと細胞表面の糖鎖との相互作用が関連することが知られており、このメカニズムが明らかになれば、感染症に対してより予防能力の高いワクチンや抗ウイルス薬を作り出せる可能性もでてきます。


EZGlyco® mAb-N Kit with 2-ABについて

2016年に上市した抗体の糖鎖分析キットです。細胞培養液などの未精製のサンプルから抗体精製、糖鎖遊離、蛍光ラベル化までを簡単な操作、短時間(2.5時間)で行うことが可能です。調製した糖鎖サンプルをHPLCや質量分析などで分析することで抗体医薬品の性能評価、品質管理を行います。キットの操作を全自動で行うための自動化装置「GlycoAutoPrep™」を販売、国内外の製薬企業で導入が進んでいます。


EZGlyco® O-Glycan Prep Kitについて

タンパク質に結合している糖鎖には主に、N型とO型の2種類の糖鎖が存在します。酵素によってタンパク質から容易に切り出すことが可能なN型糖鎖に比べて、O型糖鎖は長時間の化学反応によって切り出され、その際には分解を伴うことも多く、O型糖鎖の分析は大きく遅れをとってきました。そのため、糖鎖バイオマーカー探索やバイオ医薬品の糖鎖解析(不均一性評価など)を加速する確実かつ簡便なO型糖鎖調製法が望まれていました。

2019年上市の弊社製品「EZGlyco® O-Glycan Prep Kit」は、タンパク質のO型糖鎖分析を飛躍的に容易化し、その研究のすそ野を大きく広げるための研究用ツールです。糖タンパク質検体からのO型糖鎖の切り出し、精製、蛍光ラベル標識までの操作を安全かつ簡便・迅速に行うことが可能で、分析対象である糖鎖試料の調製がおよそ5時間で完了します。従来は危険な試薬を使用し、2~3日かかっていた時間と煩雑な操作を短縮化・簡略化します。O型糖鎖バイオマーカー探索やバイオ医薬品の糖鎖解析に対して初めて実用的な環境を研究者に届けることが可能となりました。これまでとは異なる視点に基づく新たな診断法の開発やバイオ医薬品の研究開発・品質管理に役立つことが期待されます。


糖鎖受託解析サービスについて

糖タンパク質や血液、細胞、組織など様々な生体試料の糖鎖解析を受託します。顧客のサンプルを引き受け、弊社キットを用いてサンプル調製を行い、LC-MSやMALDI-TOF MSにより糖鎖分析を実施、解析レポートを提供します。サンプルの性状、解析目的に合わせ最適なサービスを提案します。新たに糖鎖分析を始められるお客様の糖鎖分析の立ち上げサポートとして本サービスを活用されるケースも増えています。


糖鎖相互作用解析ツールについて

糖鎖はレクチンなどのタンパク質と相互作用することが知られています。たとえばインフルエンザウイルスの感染には細胞表面の糖鎖(シアル酸)とウイルス表面のタンパク質(ヘマグルチニン)の結合が関与しています。糖鎖とタンパク質の相互作用を調べることは感染症研究、ワクチン研究などに役立つと考えれられます。弊社は糖鎖を基板上に固定化した「糖鎖アレイ」作製技術を保有しており、ニーズに応じてカスタマイズされた糖鎖アレイ作製の相談に応じることが可能です。また、糖鎖構造を認識するタンパク質であるレクチンを固定化した「レクチンアレイ」および蛍光スキャナ「BioRex Scan 300」(いずれも株式会社レクザム製)を販売しており、糖鎖の迅速プロファイリングのニーズに応えます。




関連情報

本件に関するお問い合わせ

住友ベークライト株式会社 ヘルスケア営業本部 バイオ事業開発部 製品担当
Tel:03-5462-4831    E-mail: s-bio@sumibe.co.jp